・・・日々之変化。

　・・・夏休み。
・・・初めての、長い休み・・・。
・・・休みと言っても、ごーすと退治も、黙示録も、結社にも、顔を出してるので、これと言って変わらず・・・日常の延長に過ぎない。
・・・ただ、学業がないだけ・・・。
宿題という名の課題は、あるけど・・・「少しずつ片付けていけば、いいかな」と、思う。

―日常と違う所を上げるならば、
兄様の傍らに居ないこと。
お世話をする相手が、違うこと。
一視の部屋にいること。

　・・・この話の初めは、一視の言葉から・・・。
現状の提案は、枢から・・・。

　寝食を共にすることは、正直・・・慣れていない。
人が食する物を体が受け付けない。過剰な栄養について行かない。
主たる土蜘蛛様が、傍らにいる時にのんびり惰眠を貪ることに、身体が拒絶する。
・・・何処に居ても、深く眠ったことはない。習慣であり、癖でもある。
小さな物音や、生き物の気配に、過剰に敏感になっている・・・この身体。
・・・死角になる視界や、背を取られることを、死と直結する思考。勝手に動く身体。

　・・・嫌でも、自分は『現代』に馴染めない生き物だと、自覚させられる。
今まで必要とされた能力は、拒絶された。
これから必要な能力は、簡単に得られそうにない。

・・・貴方の願いを、叶える術を・・・教えて下さい・・・

　・・・例外もあるけど・・・。
意識を失うような行為の後は、真っ暗な闇に堕ちる。
・・・溺れる位の沢山の感覚に、思考が追いつかない。
与えられる物が許容量を超え、溢れ出し、思考を狂わせ、機能を停止させる。
・・・全てが止まり、ただ、ただ・・・本能が出した答えを垂れ流すだけになる。
　途切れた後、放り出されたような暗闇にいる。
あれが『眠る』という感覚なら、やはり眠ることは『怖い』。
いざと言う時に、あれでは動けない。護れない。
それは、またあの『恐怖』を味わうことになる。それだけは出来ない。それだけは嫌だ。

―――でも、でも・・・
あの温もりは、好きだ。
胸の奥に広がる。
染み渡るような、潤うような、
言葉に出来ない感覚。
・・・今まで兄様にしか感じなかった物。
同じ物を感じている枢は、壊れた？
それとも、何かが変わったの？