・・・籠。

　・・・快適。
―とは、縁遠い廃墟。
風の通りだけは無駄によく、伸び放題の青々とした絨毯が茂る・・・凡そ部屋とが言い難い場所が多い。

　・・・安全。
―少なくとも、己に害のある物はない空間。
まだ現存する数少ない部屋を使用しての生活は、不満がないかと言われると口篭りたくなるような生活を強いられ、不便な所がただただ多く、己で見つけた場所なのだけど、もう少しどうにか出来たのではないか？と思いたくなる。

　・・・満足。

―している。と、言い切れる主と二人だけの箱庭。
多少、不便だけど・・・それでも、今は共に在れる幸せを・・・。
・・・貴方の幸福を。幸せをただただ願う。

　・・・負い目がないかと言えば、嘘になる。
己の為に全てを捧げてくれた貴方を、己の全てを差し出して護りたい。
己を全てを・・・この出来損ないの身を、何度も壊れた継ぎ接ぎだらけの心と呼ばれるぼろぼろの器を、ただ全てをかけて貴方だけを思う気持ちを、想いを捧げて・・・全てを尽くして、貴方の為だけに遣おう。

　それが枢の出来る想いの応え方。
・・・重く、鬱陶しく、邪魔かもしれないけど、それだけでしか出来ないから・・・
・・・それ以外の方法を知らないから。
枢が出来る一途に尽くす、忠義のような従者の行い。
・・・殉ずるように、強く、ただ只管に、想い・・・願い、そうなるようにと行動するだけ・・・。

・・・約束より、強固な誓約を・・・
唯一無二の我が主へ

久遠と思える時を、
永遠に終わらない業を、
大罪を犯そうとも、
輪廻に戻れなくとも、
共に在れるなら、

歓喜に身を震わせながら、業火に身を捧げよう
楽園の狂った果実を口に含み、罪を飲み干そう

貴方への不幸は、全て己へ
貴方への災厄は、全て身へ

貴方の生こそが証。
何もない枢の確固たる標。
幽世に戻れぬ顕世の楔。