・・・枢のこと・・・。
「・・・。」
枢は、手の中に納まっている小型の刃物を見つめながらぽつりと呟く。
「・・・駄目だと言われると、余計にしたくなるのは何故だろう。」
バスタブに腰をかけて、踝まである水を描き回すように脚を動かす。
ちゃぷちゃぷと音だけユニットバス内に響いている。
蛇口からはちょろちょろと水が出ているが、どうやら排水溝がやや開いてるようで溜まる様子はなく、掻き混ぜる音にかき消される形になっていた。
手の中の小型の刃物を見つめ、後ろにある鏡を振り返る。
写る己の姿を確かめ、そしてとある人を思い出した。
見る見る顔が紅潮していくのが解り、視界をバスタブ内に溜まった水に移し深呼吸をする。
枢は、手の中に納まっている小型の刃物を見つめながらぽつりと呟く。
「・・・駄目だと言われると、余計にしたくなるのは何故だろう。」
バスタブに腰をかけて、踝まである水を描き回すように脚を動かす。
ちゃぷちゃぷと音だけユニットバス内に響いている。
蛇口からはちょろちょろと水が出ているが、どうやら排水溝がやや開いてるようで溜まる様子はなく、掻き混ぜる音にかき消される形になっていた。
手の中の小型の刃物を見つめ、後ろにある鏡を振り返る。
写る己の姿を確かめ、そしてとある人を思い出した。
見る見る顔が紅潮していくのが解り、視界をバスタブ内に溜まった水に移し深呼吸をする。
呼吸が落ち着く前にバスタブに溜まった水は、
『…ポタ…ポタ…』と垂れて行く雫で赤く染まっていった
『…ポタ…ポタ…』と垂れて行く雫で赤く染まっていった
・・・なんて言おう・・・。
手首を眺めながら、必死に言い訳を考えてる。
どうせ言い訳を出来る性格ではないことを、己自身嫌と言うほど知っているのに…。
先ほど付けた傷は、薄っすらと赤い線になっている。
良くも悪くも体内の蟲のお陰でだ。
自分の巣こと、枢の肉体が傷つけば枢の意思を無視して勝手に癒して行く。
それは蟲の本能であり、蟲が生きて行く為には当然のことなのだが、その蟲を今は酷く恨んだ。
この蟲達に何度も自身の命を助けられているし、守護と言うお役目と非常に相性が良く、何かと役に立っている。そして、この共存共営の関係のお陰で辛うじて右目は機能をしてる。
感謝はすれど、恨むのは筋違いだと己でも解っているが、今は一時でも感じる痛みに陶酔していたかった。
己は、誓ったのだ。己自身に。
それが一番最良であり、それしか選択出来ない己の愚かさを呪った。
望みは1つ。
しかし、その望みは沢山の誓約の前に出来ない。
―だから選択した。
結果は、己の予想を反していた。
己の我侭を通したのだから、それ位は当然だと受け入れた。
しかしながら、後悔をしてる。
余計に加速した現状に、ただ只管後悔の日々を繰り返し、振り回されている日常。
唯一の支えは、『痛み』。
最近はそれすらも行えず、無理に行おう物なら手堅い竹箆返しに合う。
穢れた己の贖罪であり、証であり、救いでもある行為だった。
しかし、それをしよう物なら更なる加速を呼ぶ。
お陰で『怯まないこと』は、ある意味『恐怖』だと理解した。
元々自己という物を己は持っているとは言いがたいが、それでもその自己が『逃げる』と言う選択肢を選ばせようとするそれは、それ以外の思考が思いつかなかった。
自分のお役目上、逃げると言う選択肢がどんなに生き恥を晒す行為より辛いのを知っているのに、でもそれを行おうとする。
―結果、何かが必死に拒絶しようと悲鳴を上げていて、何かがこのまま流されてしまえと言う。
矛盾した思考は、結果的により多くの傷を生んだ。
そして、痕をみながら途方に暮れる。
・・・どうしよう・・・。
―――と。
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プロフィール
HN:
閂 枢
性別:
女性
自己紹介:
鋏角衆×白燐蟲使い
[外見]
右目を前髪で隠し、赤眼。
青白い銀髪をショートカットに切り揃えてある。―が、うなじから少量だが尻尾のように一房だけ(毛先は膝位まで有)束ねてある。
体型は華奢だが意外にグラマー(着痩するタイプ)
右耳に菫青石のピアス、左薬指にシンプルな指輪を着用。
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この作品は、株式会社トミーウォーカーの運営する
『シルバーレイン』の世界観を元に、株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。
イラストの使用権は作品を発注したお客様に、著作権は各絵師様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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[外見]
右目を前髪で隠し、赤眼。
青白い銀髪をショートカットに切り揃えてある。―が、うなじから少量だが尻尾のように一房だけ(毛先は膝位まで有)束ねてある。
体型は華奢だが意外にグラマー(着痩するタイプ)
右耳に菫青石のピアス、左薬指にシンプルな指輪を着用。
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この作品は、株式会社トミーウォーカーの運営する
『シルバーレイン』の世界観を元に、株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。
イラストの使用権は作品を発注したお客様に、著作権は各絵師様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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感情
『入学理由:土蜘蛛戦争の結果、~』本業のみ
同族=同僚
土蜘蛛の巫女=お得意様
『入学理由:土蜘蛛戦争の結果、~』以外
上記以外の能力者=顔見知り
依頼参加者=冒険仲間
黙示録同行者=戦友
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