・・・枢のこと・・・。
・・・痛い。
包帯だらけの身体を見つめ、膝を抱える。
―と、一視は言ってくれた。
今まで頑張ったんだから、ちゃんと大人しく待ってろと言われた。
必死に拒絶する枢に、貴方は・・・一視は「応援してくれ。枢の想いは俺と一緒に戦ってるから」と言われた。
ここで大人しくしていろ、これは命令だと。
絶対に無事に戻ってくるから、これは約束だと。
包帯だらけの身体を見つめ、膝を抱える。
名誉の負傷
―と、一視は言ってくれた。
今まで頑張ったんだから、ちゃんと大人しく待ってろと言われた。
必死に拒絶する枢に、貴方は・・・一視は「応援してくれ。枢の想いは俺と一緒に戦ってるから」と言われた。
ここで大人しくしていろ、これは命令だと。
絶対に無事に戻ってくるから、これは約束だと。
・・・護ってくれた。
嬉しい。
・・・でも、少し悔しい。
嬉しい。
・・・でも、少し悔しい。
戦闘開始から5時間を越えて・・・三度目の膝を突くいた後、違和感を覚えた。
そして、己が重傷を負ったのだと理解した。
まだ立てるのは、生命賛歌のお陰であり・・・これ以上膝を突くことは死を意味し、戦場に立つことも、決して許されなくなった。
・・・だから、待ってろと言われて悔しかった。・・・凄く、悔しかった。
ただ待つことが、どれ程厭な物かこの身は痛いほど知っているから・・・。
応援だって立派な仕事だと、言ってくれたけど・・・結果を、待ち続けることしか出来ないことに、恐怖と苛立ちを覚える。
共に戦場に居れないこと。その背を護れないこと。己の弱さにほとほと嫌気がさした。
・・・こんな所で休んでる場合ではないのに。護りたいものがあるのに。
あの戦争のような過ちを起こしたくないから、護りたい。まだ見ぬ現代の知らぬ来訪者を。護りたい。世界結界を。護りたい。・・・貴方を。
――でも、出来ない。
地面を何度も叩く。己の不甲斐無さを呪う。
身体中は傷だらけ。服は複雑な色の染みが出来ぼろぼろ。口の中では泥の味と血の味が混じ合う。
めがりすの効果が無ければきっと立ってることも怪しい。動けるかも・・・。
出来ることは、祈ることだけ。
悔しい。切ない。辛い。
お願いだから戦場に立たせて。もう1回だけでいい。もう少し、この効果が切れるまで、戦わせて・・・まだ納得した結果を出せてない。まだ、枢は負けたくない。こんな所で立ち止まりたくない。護らないといけない。あの方の背を。あの方の隣で共に走り続けたいの。
・・・お願いだから、お願いだから・・・
見えない所で傷つかないで。
徐々に押し寄せてくる痛み。生命賛歌の効果が切れていくのが解る。
座ってなんか居られない。碌に動かぬ身体を六道輪廻で支え、探す。ゆっくりと歩み、ただ探す。あの人の姿を。酷くもどかしい。
走ってくる人影が視界に入る。
見慣れた姿。だいぶぼろぼろになってるけど、足取りも確りと走ってくる。
無事だ。
走ってくる人影が滲む。どんどん薄れていく。目が熱い。頬を何かが伝う。見えなくなっていくけど、それでも前に歩み続ける。
痛む身体をその人は容赦なく抱きしめてくれた。
それが幻ではなく本物で、現実なのだと脳が教えた。
当たり前の言葉。約束の言葉が耳まで届き、枢の頬が緩む。
そして、己が重傷を負ったのだと理解した。
まだ立てるのは、生命賛歌のお陰であり・・・これ以上膝を突くことは死を意味し、戦場に立つことも、決して許されなくなった。
・・・だから、待ってろと言われて悔しかった。・・・凄く、悔しかった。
ただ待つことが、どれ程厭な物かこの身は痛いほど知っているから・・・。
応援だって立派な仕事だと、言ってくれたけど・・・結果を、待ち続けることしか出来ないことに、恐怖と苛立ちを覚える。
共に戦場に居れないこと。その背を護れないこと。己の弱さにほとほと嫌気がさした。
・・・こんな所で休んでる場合ではないのに。護りたいものがあるのに。
あの戦争のような過ちを起こしたくないから、護りたい。まだ見ぬ現代の知らぬ来訪者を。護りたい。世界結界を。護りたい。・・・貴方を。
――でも、出来ない。
地面を何度も叩く。己の不甲斐無さを呪う。
身体中は傷だらけ。服は複雑な色の染みが出来ぼろぼろ。口の中では泥の味と血の味が混じ合う。
めがりすの効果が無ければきっと立ってることも怪しい。動けるかも・・・。
出来ることは、祈ることだけ。
悔しい。切ない。辛い。
お願いだから戦場に立たせて。もう1回だけでいい。もう少し、この効果が切れるまで、戦わせて・・・まだ納得した結果を出せてない。まだ、枢は負けたくない。こんな所で立ち止まりたくない。護らないといけない。あの方の背を。あの方の隣で共に走り続けたいの。
・・・お願いだから、お願いだから・・・
見えない所で傷つかないで。
手の届かない所で倒れないで。
枢の傍から居なくならないで!!!
厭!厭!!厭!!!
過去の何かを重なる。
怖い。とても怖い。
置いていかないで。
独りにしないで。
また、役目を果せない。
・・・厭だ。
大事な時に、大切なものを護れぬ愚かな守護者。
神なんか信じてないけど、祈る。
作戦の成功を。無事を。
ただ只管に、貴方の、一視の無事を祈る。
厭!厭!!厭!!!
過去の何かを重なる。
怖い。とても怖い。
置いていかないで。
独りにしないで。
また、役目を果せない。
・・・厭だ。
大事な時に、大切なものを護れぬ愚かな守護者。
神なんか信じてないけど、祈る。
作戦の成功を。無事を。
ただ只管に、貴方の、一視の無事を祈る。
徐々に押し寄せてくる痛み。生命賛歌の効果が切れていくのが解る。
座ってなんか居られない。碌に動かぬ身体を六道輪廻で支え、探す。ゆっくりと歩み、ただ探す。あの人の姿を。酷くもどかしい。
走ってくる人影が視界に入る。
見慣れた姿。だいぶぼろぼろになってるけど、足取りも確りと走ってくる。
無事だ。
走ってくる人影が滲む。どんどん薄れていく。目が熱い。頬を何かが伝う。見えなくなっていくけど、それでも前に歩み続ける。
痛む身体をその人は容赦なく抱きしめてくれた。
それが幻ではなく本物で、現実なのだと脳が教えた。
当たり前の言葉。約束の言葉が耳まで届き、枢の頬が緩む。
「枢、ただいまだぞ」
「・・・おかえりなさい、一視」
「・・・おかえりなさい、一視」
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プロフィール
HN:
閂 枢
性別:
女性
自己紹介:
鋏角衆×白燐蟲使い
[外見]
右目を前髪で隠し、赤眼。
青白い銀髪をショートカットに切り揃えてある。―が、うなじから少量だが尻尾のように一房だけ(毛先は膝位まで有)束ねてある。
体型は華奢だが意外にグラマー(着痩するタイプ)
右耳に菫青石のピアス、左薬指にシンプルな指輪を着用。
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この作品は、株式会社トミーウォーカーの運営する
『シルバーレイン』の世界観を元に、株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。
イラストの使用権は作品を発注したお客様に、著作権は各絵師様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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[外見]
右目を前髪で隠し、赤眼。
青白い銀髪をショートカットに切り揃えてある。―が、うなじから少量だが尻尾のように一房だけ(毛先は膝位まで有)束ねてある。
体型は華奢だが意外にグラマー(着痩するタイプ)
右耳に菫青石のピアス、左薬指にシンプルな指輪を着用。
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この作品は、株式会社トミーウォーカーの運営する
『シルバーレイン』の世界観を元に、株式会社トミーウォーカーによって作成されたものです。
イラストの使用権は作品を発注したお客様に、著作権は各絵師様に、全ての権利は株式会社トミーウォーカーが所有します。
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感情
『入学理由:土蜘蛛戦争の結果、~』本業のみ
同族=同僚
土蜘蛛の巫女=お得意様
『入学理由:土蜘蛛戦争の結果、~』以外
上記以外の能力者=顔見知り
依頼参加者=冒険仲間
黙示録同行者=戦友
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