・・・言霊。

　・・・よく解らないと断った。
ただ、善処するとは言った。
それだけでいいと言われた。

　・・・初めてではなかった。
前も同じようなことを・・・言った記憶がある。
後に、己が馬鹿だと思い知る出来事に発展もした。
・・・小さな泡のような約束を、幾つも積み重ねた・・・結果だった。

　だから、同じことになる前に・・・言った。

・・・それが変わったのは・・・

　眩暈がしそうな日々に、挫けそうだった。
己の存在を否定して、全てを放棄して・・・無くなってしまう方が、楽になれるのではないかと、思った。

　馬鹿とまた言われた。
前に言われた者とは別だ。
　・・・怒られた。
枢を必要だと言ってくれた。
不完全だからいいと、言ってくれた。
不器用で、いいと言ってくれた。
素直でいいと、言ってくれた。
頑固が所が、何よりもいいと言ってくれた。
・・・・・・と、言ってくれた。
・・・枢が、兄様や土蜘蛛様を選ぶかもしれないって言っても・・・構わないって・・・吃驚した。
それでも、・・・・と、言ってくれた。

　お世辞にも褒められてる言葉ではないし、妙なことを言われてるのに、嬉しかった。
・・・抱きしめられた感触を、今も覚えている。
思い出すと・・・目頭が、痛い位熱くなって・・・水が止まらなくって・・・どうしょもなく恥ずかしくなる。
　・・・色々言いたいことも、上手く言葉にならず・・・ちゃんと約束なんかしてない。
・・・曖昧で、おかしな状態。でも、満足してると枢がいる。
この関係とこの気持ちは、初めてかもしれない。

・・・不幸の後には、必ず幸せがくるらしい・・・。
・・・幸せの後は、何が残るのだろう？