・・・埋め合わせ・・・。

　梟が、1通の手紙を届けてきた。
何処から・・・ここに侵入してきたのか解らないけど、それはあの人が大切にしてる1人からだった。
・・・あの時、あの人が発した言葉で行動で・・・立ち止まれた。
　・・・ここに、戻ってこれた。
だから、埋め合わせがしたかった。・・・だから、向かった。

・・・埋め合わせをする度に、約束を破る回数が、増えて行く気がする・・・。

　・・・あの時の埋め合わせの為、その手紙に従って・・・ここを抜けた。
・・・誰も居ないかと、思われた其処には・・・あの人が大切にしてる1人の森次が・・・以前のように隠れていて吃驚した。
手紙の主こと、出雲は「来い」とは言われたけど・・・どれだけ待てとは、言われてなかったから・・・これ以上約束を破る前に、退室しようとしたけど、それは「屁理屈」だと森次に・・・言われた。
・・・武田にも同じこと、言われたけど・・・間違ったことはしてないと、思うだけど・・・（悩。

　・・・出雲が来る前に、あの人が来た。
思わず喉から声が出そうになって、全身がそれを急停止させる。
掛ける言葉が出せない。届ける言葉が出ない。姓も名も呼べない。あの人を認識する術がない。
　気が付いたら逃げ出していた。
これ以上、何も出来ないと解っている。
でも「・・・まだ・・・」と手を伸ばしそうになる。
それが出来ない身分なのは、十分自覚している。
・・・これは、己が引きこしたことだから・・・。
もう繰り返さないと決めたことだ。

約束を護ろうとする度に、その約束を破ってしまう。
・・・1つ護ると、2つ破る・・・
再び、闇に紛れあの場所に戻る。
・・・どれだけ傷ついても、あの場所が一番居心地がいいから・・・。